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ろ布について

ろ布に使用されている合成繊維の材質は、一般的にポリプロピレン、ポリエステル、ポリアミド(ナイロン)があります。
その他にビニロン、綿なども使われています。
これらについては、それぞれに材質上の特徴があり、その特性に応じて各方面に使用されています。
その用途を誤るとろ布としての性能を損なうのみでなく、ろ布の寿命やろ過性能に大きな影響を与えます。
そこで、まず合成繊維の特性を述べ、ろ布を取り扱う上で注意すべき点を列記します。

ポリプロピレン

  • 耐薬品性が非常に良好で、酸、アルカリ、いずれにも優れた耐性があります。
  • やや耐熱性は低く、常用~90℃程度です。
  • 寸法安定性は良好です。
  • 蒸熱に対しては影響されません。

ポリエステル

  • 一般の合成繊維としては、もっとも高い耐熱性(常用~130℃)があります。
  • 酸に対して抵抗性があります。
  • アルカリに対しては強くありません。
  • 伸びに対して大きな抵抗性があります。
  • 熱処理により寸法が安定しています。
  • 蒸熱により加水分解を起こし脆化することがあります。

ポリアミド(ナイロン)

  • アルカリに対して抵抗性があります。
  • 酸に対して強くありません。特に無機酸にたいしては、十分注意して下さい。
  • 摩耗に対して大きな抵抗性があります。
  • 蒸熱に対してはあまり影響ありません。
  • 熱処理による寸法安定加工は施していますが、使用条件により収縮や伸びが大きく、注意が必要です。
  • ケーキ剥離性に優れています。
  • 国産はナイロン6が主体ですが、ナイロン6よりも若干耐熱性が良いナイロン66等もあります。

塩化ビニリデン

  • 耐薬品性が非常に良好で酸、アルカリ、いずれも優れた耐性があります。
  • 合成繊維の中では比重は最も大きいものに属しますので、重量は重くなります。
  • ケーキ剥離性が優れています。
  • 物理強度が低く、抗張力、耐摩耗性に劣ります。
  • 寸法安定性に欠け、また耐熱性にも劣ります。

ビニロン

  • 耐薬品性は比較的良好で、強酸には侵されますが、その他にはあまり変化しません。
  • 寸法安定性に欠け、特に使用温度が上昇すると収縮が大きくなります。

綿

  • 水に濡れると膨潤性があり緻密ろ過に適しています。
  • 安価なろ布ですが合繊ろ布に比較して強度が劣ります。

ろ布の保管

 合成繊維のろ布は天然繊維即ち、木綿、羊毛、麻などのように虫に侵されたり、腐食したりすることはありません。
しかし、その保管についてはどの材質のろ布についても次の点に注意してください。
特にポリプロピレンは顕著に紫外線に劣化します。

  • 直射日光のあたらない所に保管して下さい。
  • ろ過布を直接床面に置くことは好ましくありませんので避けて下さい。
  • ろ過布を引きずったり“手かぎ”を使用したりしないよう注意して下さい。
  • 包装紙、布、箱などが破れてろ布が露出しないように注意して下さい。

ろ布の選定条件

よいろ布の条件としては、次のような機能が必要になります。

  • 耐久力に優れている
  • ケーキ(ダスト)の捕集性が良い
  • 目づまりが少ない
  • ろ過速度が速い
  • ケーキ(ダスト)剥離性が良い
  • 耐熱・耐薬品性が良い
  • 寸法安定性が良い
  • 経済的に優れている
  • 使用ろ過機に取り付けやすい

1.材質による選定

ろ布として使用される繊維は10種類以上ありますが、一般的に採用される材質は次の3点にしぼられます。 ろ液の性状、温度等ご使用条件にマッチした素材を選択することが大切です。

2.糸の形態による選定

細い繊維を短くカットした繊維を撚り合わせたものです。 これから作ったろ布は微細粒子の捕集性に優れています。
しかし、目詰まりや、ケーキ剥離性、処理量に難点があります。

細く長い繊維を多数撚り合わせた合成繊維でケーキ剥離性に優れています。また、ろ過処理量もアップします。

釣り糸のような1本の太く長い合成繊維で目詰まりが少なく、ケーキ剥離性とろ過処理量は最高です。
しかし、捕集性には難点があります。

剥離分割により単繊維で0.2デニール前後の極細繊維からなる糸で、繊維1本、1本が角張った異形断面繊維で極微粒子の捕集性が優れています。しかし、ケーキ剥離性や目詰まりに難点があります。

これを表にまとめると次のようになります。